日本小児アレルギー学会誌
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ISAAC (International Study of Asthma and Allergies in Childhood) 第I相試験における小児アレルギー疾患の有症率
西間 三馨小田嶋 博
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2002 年 16 巻 3 号 p. 207-220

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抄録

ISAAC (International Study of Asthma and Allergies in Childhood) の第I相試験の日本のセンターの結果を報告した.
対象は無作為抽出された36小学校の6~7歳の児童2901名 (回収率91.4%), 14中学校の13~14歳の生徒2831名 (回収率94.2%) であり, 調査手法はISAAC第I相試験の共通のプロトコールにより質問紙法とビデオ調査 (中学校のみ) で有症率を調査した.
1. 6~7歳の対象では喘息症状: 17.3%, アレルギー性鼻・結膜炎: 25.6%, アトピー性皮膚炎: 21.3%であり, 13~14歳ではそれぞれ13.4%, 41.0%, 13.5%であった.
2. 13~14歳のビデオによる調査では月1回以上の喘鳴: 10.2%, 運動誘発喘息: 16.4%であった.
3. 世界との比較では, いずれの疾患も平均より高率であり, アジアでは最も高かった.
4. ISAAC質問表の喘鳴症状を示す者の血清総IgEの平均, ダニ特異的IgEのCAP-RAST4以上の割合は, A: 会話困難や睡眠障害のあった者, B: それらのない喘鳴, C: 最近1年間では喘鳴のなかった者の3群でみると, それぞれA: 1,000IU/ML, 100%, B: 398.1IU/ML, 75%, C: 199.5IU/ML, 22.2%であり, ISAACでの喘息群はATS-DLDの定義の喘息群よりかなり幅の広いグループと考えられた.

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